昨年の9月、山仲間と剱岳に向かったときのこと・・・
剱岳自体はいろいろあって登れませんでしたが、立山の大汝山にある大汝休憩所が映画「春を背負って」の撮影現場になったという事で、その帰りに立山に立ち寄ることに。
4年ほど前にも登っていますが「休憩所」と言うだけあってちっちゃな印象しかありませんでしたが、映画では「山小屋」として扱われると聞いて、ミーハー根性丸出しで覗いてきたのでありました。
監督は木村大作。木村大作監督と言えばやはり「剱岳〜点の記」です。
元々は黒澤明率いる黒沢組でキャメラマン(本人曰く、カメラマンではないそうで)をやってた方。その後一本立ちして多くの映画で活躍し、初メガホンをとった映画が「点の記」ということでした。
CGなどの合成が大っ嫌い、徹底した現場主義で貫かれたスタイルはいい意味で古くさく、「点の記」において言えば、明治という時代の世界観にあった映像表現で、なかなか見応えがありました。
その木村監督の2本目となる映画が、笹本稜平原作の「春を背負って」。
原作は、簡単に言えば奥秩父の山小屋を舞台に繰り広げられる人間模様がテーマ。どちらも山を舞台とした映画、が方向性も違うという事で楽しみにして、公開日まで気長に待っておりました。
昨年、大汝休憩所に張ってあったポスター
で、6月・・・
会社で先に見た人の感想が・・・どうもイマイチだったようす。
嫌な予感がしたものの取りあえず原作を読破し、ついこの間観てまいりました。
(公開から1ヶ月、すでにレイトショーのみという淋しい状況・・・)
個人の感想としては・・・
映像は綺麗でしたが・・・アナログ感強め?平成感より昭和感的かも、です。
内容は・・・ホントゴメンナサイ、って感じ。
原作は6章の構成に分かれていて、そこに出てくる各々の人物像もしっかり浮かび上がりますが、それも1本の映画じゃ難しいのかと・・・
あえて一番の見どころを言うならば・・・
モンベルの社長が笛吹いて出てきた時でしょうか。(何やってんだかって感じで思わず苦笑)
まあ、原作は原作、映画は映画ということで・・・
機会があったら原作どおり、奥秩父での映像作品を観てみたいと思いますが、どこかの局でやってくれないでしょうか。
多少御都合主義もありますが、原作は面白いです
ちなみに原作本を購入した時、同作家の「還るべき場所」もいっしょに購入。
この山岳小説、アマゾンでやたら評価が高かったので実は先にこちらを読んだのですが・・・
ホントに面白く読ませていただきました。
正統派の山岳小説とでも言うのでしょうか、舞台はヒマラヤですが、スピーディな展開と意外な結末が心に残る、味わい深い作品でした。
映像化は、絶対無理でしょうね・・・